防衛省幹部の中にさえ「やりすぎだ」「戦前の憲兵隊と同じだと誤解されても仕方がない」とため息をついた人がいたそうだ。自衛隊が市民活動を監視しているという「内部文書」を、暴露した共産党のホームページで見た▼これではため息も出るわけだ。「デパート前に四十人。キャンドル、ハーモニカを持ってイラク派遣反対を訴え」(小樽)。「集会参加は百五十人。『イラクには非戦闘地域はない』と講演」(札幌)。道北の小さな教会が開いた催しまで調べている▼情報保全隊が全国で行ったものらしい。イラクに最初に派遣されたのは旭川の陸自第二師団だから、活発だった道内の運動に関する記述が多い。参加者の顔がわかる写真も撮影されていた▼調査の方法も、単に街頭宣伝をわきで見ていたという次元ではない。集会の中にまで入り込んで、発言を記録した形跡がある。これを組織的、系統的に資料としてまとめていた▼集会を開けば自衛隊から調べにくる。発言すればメモされるらしい。そんな事態が常態化すれば、大きな圧力になるだろう。言論や集会の自由が窒息してしまう。市民団体などが監視と受け止めるのは当然である▼自衛隊は何を守る組織だったのか。国民を、自由や民主主義を守ると宣伝してきたのではなかったか。まさか、イラク派遣に反対する自由など守るに値しない、というわけではあるまい。
(北海道新聞より引用)
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