生活協同組合コープさっぽろ(札幌)が出店を計画していた十勝管内幕別町札内の土地と建物を、ライバルの食品スーパー道内最大手アークス(札幌)傘下の福原(帯広)が五日までに取得した。出店を断念し「モラルも誠実さもない」と憤る同生協に対し、福原は「法的に問題ない」と強調。道内各地で激戦を繰り広げるスーパーグループ同士の確執が深まりそうだ。
同生協が十勝管内三店舗目として出店を計画していたのは、住宅街が広がる国道38号沿いの好適地。商業施設として使われている鉄骨二階建ての一階部分で、店舗面積約二千五百平方メートル。来春から改装し、来秋開店予定だった。約百メートル離れた場所に福原の店舗があり、道内二大スーパーグループの激突が注目されていた。
土地と建物は、同所でかつて営業していた地元スーパーのオーケー(十勝管内音更町)が所有。関係者によると生協は十月、土地・建物貸借の基本合意書をオーケーと交わし、手付金も払った。
ところが、生協の出店計画が明らかになって以降、福原がオーケーに土地・建物の取得を打診し、このほど売買契約を結んだ。福原は取得額を明らかにしておらず、建物の利用については今後検討する。オーケーは生協から受け取った手付金を返し、基本合意書に基づき違約金も払ったという。
生協は「合意書が一方的に破棄され、社会の常識を逸脱している」(開発本部)とし、怒りが収まらない。改装工事の設計などに掛かった費用をオーケーに請求するとともに、福原に直接抗議することも検討する。さらに、同地域で別の候補地も探す方針だ。
一方、福原は「この地域で生協と共存はできない」と説明。地元流通関係者は「生協の合意にも甘さがあったのだろうが、福原のやり方にも驚いた」と話す。
コープさっぽろは三月、コープ十勝を吸収合併したが、十勝管内の店舗は帯広市の二店だけで二○一○年までに複数の新規出店を目指している。福原は同管内で二十店以上を展開している。
(北海道新聞より引用)
0 件のコメント:
コメントを投稿